たき火屋のロケット
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作者:工藤由行
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◆さわり
祈願を済ませた後、2人はたき火の近くで暖をとることにした。
『ユウジさん、結婚とかしないの?』
アキは話のきっかけ程度のつもりでそう聞いた。
「なかなか、仕事も落ち着かなくてさ。ま、そのうちね」
折からの不景気で大口である工務店との取引も減ったらしい。
一方で目の前の木片はパチパチと音を立てながら燃え盛っている。
「たき火屋でもやろうかな。ね、なんか景気よさそうだしさ」
『(クスッ…)面白い!』
ユウジの冗談はアキの初笑いの種となった。
「アキちゃんはどうなの?」
今度はアキが聞かれる番だった。
『私は…ダメ。全然ダメで…』
「……」
ユウジは火の中に視線を保ったまま、黙ってうなずいた。
『何がダメかって、その…』
自分へのダメ出しからはじまったアキの話は止まることを知らなかった。
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